家売るおじさんの売却事例物件が違えば、売り方も違う。売却実例実況中継!

不動産屋が扱いたくない物件

A様は相続した一戸建ての売却で相談に来られました

 

一戸建てといっても、築45年、リフォームもしていないので

そのままでは利用できません

 

電話をもらってから現地を見に行き、簡易的な調査をしてみると

様々な問題が明らかになりました

 

今回のテーマとは少し違うので、詳しくは書きませんが

道路の問題、隣地との境界の問題、需要の問題

はっきり言ってしまうと『誰がこの物件買ってくれるの?』と思われるような

問題山積みで個人の需要はほぼ無いような物件でした

 

A様に正直に私の思っていることを伝えると

『やっぱりそうですか、なんとなくは覚悟していたのですが』とのこと

詳しく聞くと、当社に相談に来る前に数社の不動産会社に問い合わせていて

はっきりは言ってくれないけど、なんとなく皆、消極的だったそうで

問合せ後も、一切連絡などもくれないとのこと

 

その理由は、はっきり言ってしまうと

『不動産会社が物件の取り扱い、売却のお手伝いをしたくない』ということです

 

ここで我々不動産業界の事情の説明をします

不動産仲介は物件が売れて初めて報酬をいただけます

 

報酬額は売れた価格の3%+6万円

 

そもそも売れないとお金をもらえないので

売れる見込みのない物件はみな消極的になります

 

また物件の価格も大事な要素で

例えば1億円の物件を売っても3%+6万で報酬は¥3,366,000円(税込)

 

これに対して500万円の物件も同じく3%+6万円

報酬は231,000円(税込)

報酬額は約14倍にもなってきます

 

そして、1億円の物件と500万円の物件

どちらが売りやすいのか? それは1億円の物件です

価格が高いということは、それだけ魅力があるということ

 

500万円の物件はというと、クリアにしなければいけない問題が山積みで

売る前の問題解決のための労力も1億の物件に比べ何倍も大変です

 

何倍も大変なのに、報酬は14分の1

 

不動産会社の立場で見た場合、こういう事情がありますので

A様の物件はどの不動産会社もあまり積極的じゃなかったのは

当然と言えば当然です

 

『不動産屋なんだから、それでもちゃんとやれ!』

『商売をなんだと思ってるんだ、こちらは客だぞ!』

という声が聞こえてきそうですが

 

だからこそ、はっきりとはお断りされないのでしょう

やんわり消極的な扱いをされて、そのままフェードアウトというのが

一般的な不動産会社の態度なのだと思います

 

しかし、まずはこのはっきりしない部分をはっきりさせないと

結局、困っているA様が前に進むことができません

 

まずは現実を知っていただき、その上でどこを目的にするか?

『これだけ問題があります。売れるとしてもこの程度です。』

『それでもやってみないとわかりません』

 

それをまずは不動産会社と共有する

それを受けとめ、一つ一つ問題を解決していく

 

結局、A様の物件は380万円で売買が成立しました

 

買い手は、不動産会社です

リフォームをして、賃貸に出すそうです

 

リフォームして売ることも考えたそうですが

やはり商品として、需要が見込めないということ

投資物件として利回りを計算したときに380万円であれば

ギリギリ投資物件として機能する

 

というのが購入理由でした

 

A様だけではなく、こういった案件はいままでたくさんありました

『まったく価格がつきません、どうにもなりませんでした』

ということは今までは一度もありません

 

地域性もあるかもしれません

戸塚区のように人口の増減が少ない都心に近いエリアだからだと思います

 

以前、親戚の伊豆方面の土地売却を頼まれ、地元の不動産会社に問い合わせた時に

『この辺は、売れませんよ。タダでも誰ももらってくれません』と

言われたことがあります

 

人口減少の日本でこういう価値のつかない不動産は年々増えていくでしょう

社会問題になるころ、不動産会社はどう対応するのだろう?

不動産会社が消極的な理由は単純に報酬額と手間です

これは今後、国の政策などとも関連して取り組まないと解決できないのでは感じます

 

【今回のPOINT】

 

・不動産会社が取り扱いたくないのには業界の事情があり、それを知っておくのが大切

 

・売りづらい物件も、きちんと不動産会社と売主が現実を共有することが第一歩

 

・今後人口減少で売れない物件も多数出てくる。国の政策も関連してくる

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